会長ご挨拶

大阪CAPD研究会会長 辻本 吉広
大阪腹膜透析研究会会長 辻本 吉広

皆様、こんにちは。
大阪腹膜透析研究会の会長を拝命いたしました辻本吉広です。

腎不全・透析医療はいま、大きな転換点にあります。
単に透析を「安全に行う」医療から、患者さんが「どのように生きるか」を支える医療へ。
腹膜透析は、その転換を象徴する腎代替療法であると、私は考えています。

腹膜透析は、患者さんが自らの生活の場で治療を行い、仕事や家庭生活を維持しながら腎不全と向き合うことができる治療法です。通院回数が少なく、身体的負担が比較的軽いという特性は、就労世代のみならず、高齢者や通院が困難な患者さんにとっても大きな価値を持ちます。腹膜透析は、単なる治療手技ではなく、「生活を支える医療」であると言えるでしょう。

一方で、わが国の腎代替療法の現状を見ますと、血液透析が圧倒的多数を占めており、腹膜透析が本来持つ可能性は、十分に活かされているとは言えません。血液透析は極めて完成度の高い治療法であり、その価値が揺らぐものではありません。しかし、患者さん一人ひとりの病態、生活背景、価値観を考えたとき、「血液透析か腹膜透析か」ではなく、「どの治療が、その人にとって最もふさわしいか」を柔軟に選択できる医療体制が、これからの時代には求められています。

また、腹膜透析は導入期の選択肢にとどまるものではありません。すでに血液透析を受けている患者さんにおいても、透析困難症や頻回のシャントトラブル、通院負担の増大などを契機として、腹膜透析への移行が有効な選択肢となる場合があります。そのような場面で、医療者が躊躇なく腹膜透析を提案でき、患者さんが安心して選択できる体制を整えることは、今後ますます重要になると考えています。

大阪は、急性期医療、慢性期医療、在宅医療、訪問看護が高密度に集積する、日本でも稀有な医療圏です。だからこそ、腹膜透析を「理論」ではなく「実践」し、地域医療の中に根づかせることができる可能性があります。大阪腹膜透析研究会は、こうした地域特性を活かし、腹膜炎や体液管理不良といった合併症対策、アシステッドPDの具体的な運用方法、多職種連携の実践など、現場で直面する課題を率直に共有し、解決策をともに考える場でありたいと考えています。

訪問看護師、在宅医療に携わる医師、薬剤師、管理栄養士など、多くの専門職が関わることで初めて成立する腹膜透析は、これからの超高齢社会において、きわめて時代適合性の高い腎代替療法です。本研究会が、腹膜透析にすでに取り組んでいる方にとっては実践を深める場となり、これから取り組もうと考えている方、関心はあるものの一歩踏み出せずにいる方にとっては、背中を押す場となることを目指しています。

腹膜透析を「特別な治療」にしない。
患者さんの人生にとって意味のある選択肢として、当たり前に提示できる医療にする。

その実現に向けて、大阪から知恵と経験を発信していきたいと考えています。
本研究会への皆様のご参加とご協力を、心よりお願い申し上げます。

ページトップへ